多数決
数十年前までの日本は、一つに団結するという方法論で発展してきました。そこでは平均的な価値観を持つ人材が求められ、「出る杭は打たれる」という社会でした。そのため、優秀な頭脳が海外へ流出してしまいました。
今は、多様な価値観をもれなく活用するという方法論をとる国が発展しています。しかし、多様性の幅が広がったことで、社会が分断されるという問題も出てきました。
これからは、多様な価値観を尊重しつつ一つに団結することが求められています。そこで、それを実現できる議決方法について検討します。
<例題>
カレー好き3人とラーメン好き1人の4人兄弟がいました。毎日の食事のメニューは兄弟で決めます。初めは話し合いで歩み寄ろうとしますが、折り合いがつかず強行採決されます。多数決で決めると、毎食とも3対1でカレーになります。ラーメン好きの子は、投票意欲が下がり、不満がつのります。そのうち腕力を使おうとするかもしれません。
一般に多数決は公平で民主的だと考えられていますが、はたしてこれは公平なのでしょうか? 多数決は、独裁制などに比べれは公平で民主的ですが、このようなケースでは公平でなく民主的でもありません。民主主義で大切なことは、十分に話し合うことだとされていますが、現実としては強行採決が行われています。
4食中の3食がカレーで1食がラーメンになるのが妥当だと思われます。どのようにしたらそれを実現できるでしょう?
<現実世界>
例題は小さな問題ですが、現実世界では深刻な問題です。現実の世界では、多数の勢力が争っています。武力紛争もあります。共存共栄した方がメリットが多いとわかっていても、それができません。二つの勢力が合併すると、その中では多数決で物事が決まっていくことになりますが、多数決では少数派が損をしてしまいます。少数派にとっては、争っていた方がマシなので、争いが続きます。
<案1 - 審判者>
親が、4食中の3食がカレーで1食がラーメンと決めれば簡単です。しかし、現実社会の問題では、人の上に立つ審判者はいません。
<案2 - 譲り合い>
親が、譲り合うように子どもを教育すれば、子供はうまく譲り合って4食中の3食がカレーで1食がラーメンとなるでしょう。しかし、現実の社会では譲り合いは期待できません。
<案3 - くじ引き>
くじ引きをして、勝った人の希望を通すと、ラーメン好きの子が勝つ可能性は 1/4 なので、4食中の3食がカレーで1食がラーメンとなります。例題に対しては良い方法なのですが、現実の社会では課題があります。
<課題1 - 信頼性>
挙手による多数決であれば、全員の目の前で行われので、結果は誰の目にも明らかです。
投票用紙による多数決であれば、投票用紙が残るので、結果を検証することができ、全員が納得できます。
くじ引きは、いかさまが無いことの証明が難しく、結果について全員の納得を得ることが難しいです。
<課題2 - 法制度改正>
現実の社会で、議決方法を多数決からくじ引きに変えるためには、法制度の変更が必要です。
法制度の変更は、現行制度である多数決で行われるので、多数派は、くじ引きへ変更すると有利さが減るので、変更に賛成しません。
<検討>
これらの課題は、将来、解決すべき課題です。
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