天国
天国はあるともないとも証明されていません。(ここで言う天国とは、特定の宗教の用語ではなく、一般的な用語の「死後に行く幸せが約束されている世界」のことです)
<ある?>
天国や地獄といった死後の世界を見た人はいません。
以前は、死とは心臓が止まることとされていました。一度止まった心臓が動き出すと、一度死んで生き返ったと考えました。しかし、心臓も一つの臓器であり、それが一時的に停止したというだけで、それは死ではありません。現在は、死とは脳全体の機能が不可逆的に停止することであり、死んでから生き返った人はいません。
死にかけた時に死後の世界を見てきた、と言う人がいます。死にかけた時に見たものが、死んだ後に見るものと同じであるとは限らなので、証明にはなりません。
<ない?>
天国に限らず、ない事の証明は、悪魔の証明ともいわれるほど、困難です。何かがあるということを証明するには、その物を一つ示せばよいのですが、ないということを証明することは、困難です。例えば、二ホンオオカミは絶滅したとされていますが、それを証明するためには、世界中をくまなく調べ上げる必要があります。まだどこかに隠れて生きているかもしれません。実際、アホウドリは日本では絶滅したと考えられて1949年に絶滅宣言が出たのですが、2年後に離島で発見されました。限られた範囲についてなら、くまなく調べることができますが、可能性が無限にある問題については、ない事の証明は不可能です。
宗教の経典には、現代科学と異なる記述があります。その部分については、宗教の経典の記述は誤りです(もしくは比喩的な記述とされています)。しかし、経典の誤りと、天国の有無とは別の問題です。天国が存在しないことの証明はされていません。
<現実>
あるともないとも証明されていないものを考えても、意味がありません。死後の世界や、それを前提とする、天国、地獄、来世、生まれ変わり、神様、霊といったものは、あるともないとも証明できません。
考えることに意味があるのは、いま生きている自分と、現実の社会についてです。