世界平和
今、世界は、抑止力でバランスをとっています。抑止力は、核兵器だけでなく通常兵器も含みます。「もし攻撃してきたら、反撃して痛い目を見させるぞ、だから攻撃するなよ」とお互いに言い合っています。痛い目を見させるためには、それなりの軍事力が必要です。相手が軍備を増強したら、それに負けないように軍備を増強します。
自国の軍事力は、相手に知られないようにします。自国の軍事力が相手に知られていなければ、相手は攻めた時にどの程度の反撃を受けるか分からないので、相手は攻めづらくなりす。相手から攻められた時に十分に反撃するためには、(相手の軍事力が分からないので、)相手の軍事力を最大限に見積もって、それに負けないように軍備します。お互いに、相手の軍事力を最大限に見積もりますから、軍拡競争になります。
軍備を増強するためにはお金が必要です。国家予算には限りがありますから、軍備を増強すると社会の他の分野にしわ寄せが行きます。軍事費は、他の分野が耐えられなくなるぎりぎりまで増えていきます。軍拡競争は、経済的に耐えられなくなるぎりぎりまで進みます。
抑止力によるバランスは、構造的に軍拡競争となりますので、軍縮を実現し世界を平和にするためには、まったく別のアプローチが必要です。
<他国の国民>
国の指導者が、他国を攻撃しようと考えるのは、攻撃によって何らかの成果を得て、国民にアピールできるからです。指導者が、他国を攻撃したいと考えても、国民がそれを望まなければ、攻撃することはできません。国民が攻撃を望まない他国とは、国民が好きな国です。好きな国を攻撃したいとは思いません。
自国が攻撃されないためには、他国の国民に自国を好きになってもらうことです。好きになってもらうためには、観光や文化交流を通じて関係を深めることです。(経済交流は勝ち負けの話になりやすいので、この目的にはあまり適していません。)小回りが利いて実施しやすいのは観光促進です。
関係の悪い国に対しては、交流を狭めようとしてしまいがちですが、そうすると軍事力に頼るしかなくなって、軍拡競争となって自国の首を絞めてしまいます。自国の防衛のためには、目先の感情に流されず、関係の悪い国にこそ、交流を広げることが得策です。
<世界平和>
全ての国が観光促進による防衛をすると、お互いに「好きだから攻撃したくない」と思うようになります。これだけで世界平和が達成できるわけではありませんが、好きという気持ちは平和への第一歩です。